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カテゴリー:しげねこ的世界観
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損得軸と善悪軸

「損得より先に善悪を考えよ」

これは「商業界」の創業者、倉本長治氏が、商人としての基本的なありかたを提唱した「商売十訓」の、最初の項目である。
商売に従事していると、どうしても「損得」に物差しが固定されがちであることを戒めているものだと思う。

 
 

ところで、社会人経験を重ねるうちに、ふと、「損得軸」の人と「善悪軸」の人がいることに気が付いた。
もちろんどちらがいい悪いではないし、はっきり二分できるものでもなく、判断基準や行動基準においてどちらが優位に働いているかという話ではある。

 
 

人生訓としては、どちらかに偏ることなく、バランスの取れた判断、行動をすべしという結論で終わってしまうのだが、

これを社会観察のフレームととらえると、角を立てずに生きるコツが見えてくる。

また、言いたいことのアピール、ひいてはマーケティング戦術としてのノウハウとしても活用できそうだ。
 


 
ひとつエピソードを挙げると、

かつて働いていた会社に、「損得軸」のスタッフと「善悪軸」上司がいた。
その「損得軸」スタッフは、営業成績もよく、何かと優秀な人である。

あるとき、そのスタッフを通してイベントのオファーがあり、それは売上にプラスであると判断して、彼は即答でオファーを受けた。
しかし、そのイベントの規模として、必要な費用は、スタッフ権限で決済できる金額を超えていた。
稟議書も通さず、勝手にオファーを受けたことを知った「善悪軸」上司は「すぐ断ってこい!」くらいの勢いで激怒。
ところがそのスタッフは、あろうことか「いや、ちゃんと売上をあげますから」と返してしまい、火に油。
 
「権限を越えた頭越しの判断(組織上の善悪)」を怒っているのに、「売上アップ(組織上の損得)」で返したら、そりゃ炎上します。
 
私は横で見ていて、お互い頭が悪いわけでもなく、長い付き合いなのに、なんでわざわざ炎上させることを言ってしまうのか不思議に思っていたが、価値観や判断基準の思い込みは強固なんだなぁということを実感した次第。

 


 
マーケティングの世界に、顧客をタイプ分類して、それぞれのタイプに響くアピールを網羅する手法がある。

(以下の分類は「損得善悪」とは異なる分類の例だが)
テレビショッピングショーとか、インターネットのながーい商品広告をみれば、
「今すぐお電話を」とか目立つ申込ボタンとかで、申込方法を分かりやすくして行動優位の顧客にアピールし、
「お客様の声」で感情・感覚優位の顧客にアピールし、
そして「研究結果や効能」を理路整然と唱えて思考優位の顧客にアピールし・・・・
が網羅されていることがわかると思う。
 
 
そういった顧客分類方法のバリエーションとしても「損得軸と善悪軸」は使えると思う。
「損得系」「善悪系」の両方に訴えるアピールで、成果を大きくできるはず。

その視点で言えば、長年ずっと学級委員長のようなことを訴え続けている某政党は、損得系の票をみすみす逃していて「損している」と思う。
けなげに生きる人々が報われる世の中であるよう、頑張ってほしいのだが。

 


 
「クレーム対応」においても、
相手が「損得」で怒っているのか?「善悪」で怒っているのか?を相手の話を聞く中で、きちんと把握して、
前述の上司と部下のようなことにならないようにする必要があると思う。
(これは項目を改めて詳しく述べたい)

 
 
最後に繰り返すが「損得軸」「善悪軸」は、どちらがいい悪いではない。

損得観なしでは、生活できないし、最悪破綻してしまう。

一方、善悪観だけだと、「正しくないもの」の排除が前面に出てしまい、非常に息苦しい世の中になってしまう。
「商売十訓」の5番目に「欠損は社会のためにも不善と悟れ」とあるのはさすがだと思う。
 
「善悪軸」の人は、相手も善悪軸で動くと思いがちだし、「損得軸」の人は、相手も損得軸で動くと思いがち。
そして、お互い、そうあるべきと考えがち。
 
バランス感覚を持った上で、「物差しが違うだけ」と認識して受け入れる寛容さを忘れずにいたいと思う。

 
 


 
 

【参考】「商売十訓」倉本長治

1.損得より先に善悪を考えよ

2.創意を尊びつつ良いことは真似ろ

3.お客に有利な商いを毎日続けよ

4.愛と真実で適正利潤を確保せよ

5.欠損は社会のためにも不善と悟れ

6.お互いに知恵と力を合わせて働け

7.店の発展を社会の幸福と信ぜよ

8.公正で公平な社会的活動を行え

9.文化のために経営を合理化せよ

10.正しく生きる商人に誇りを持て

 

私は「しげねこ」というハンドルネームを名乗っていますが、別に猫を飼っているわけではありません。
大雑把に、猫の行動パターンや一般的な猫のイメージに、自分の在り方をなぞらえているだけでした。
付け加えると「犬的な世界観」に与しないし属さないアピールでもあります。

 

でもそれらは、何となくのイメージです。それでも普段の会話の文脈では通じてしまうのですが。
で、そんなあいまいなイメージを言葉にしてくれたのが本書です。
そして、まさに私のことです。
 

 

「ネコ型社員」としていて、基本的に会社組織を舞台にしていますが、一般的な価値観としてとらえてもいいと思います。
 

著者は、「ネコ型社員」の特徴として冒頭で箇条書きにしているのは

  • 滅私奉公より、自分を大切にする。
  • アクセクするのは嫌だが、やるときはやる。
  • 自分のできることは徹底的に腕を磨く。
  • 隙あらば遊ぶつもりで暮らしている。
  • 大目標よりも毎日の幸せを大切にする。

言い換えると、
組織に対する「忠誠」はなく、動くときは自分から動き、
自己実現に邁進するわけではない。
決して能力がないわけではないが、上昇志向はゆるい。
といった感じでしょうか。

 
誤解したくないのは、「忠誠」心はないけど「信義」は重んじる点。
個人差あるでしょうが、他人に対する誠実さは持ち合わせています。しかし自己犠牲は伴いません。
猫は、ああ見えてけっこう義理固いのです。

 
そして、勤勉なイメージはありませんが、決して能力が低いわけではありません。
「やるときはやる」のです。ただ、命令に従ってではなく、勝手にやります。
社会的ポジションの「上昇志向」は希薄ですが、自己を磨く「向上心」は旺盛です。

 
本質はこういったところでしょう。ただ、表面上猫っぽいだけでは誇り高き?猫を名乗るに値しません。
著者も指摘していますが、スキルが低くさぼるだけの「偽ネコ社員」も存在します。
まっとうなスキルがないのに「好きなことをやりたい」というだけ。
しかも自己管理能力が低く、なにかと人のせいにしがちな輩です。
(ネコはトイレに関しては几帳面です。万が一粗相をしたら神妙にしてます。)

 

こういうと「近頃の若者」でひとくくりにされそうですが、若くても犬派はいます。
そして若いもんに限ったことではないという例として「昭和のネコ型社員」が挙げられています。
モーレツ社員とは対極だが、仕事ができないわけではない。ただガツガツ前に出ないので出世は早くないが、それなりの人望がある。最終的には中間管理職どまりのことが多いけど、出向先とかでも慕われて、それなりに幸せな退職を迎える・・・ようなタイプです。
そんな人がいるだけで、組織のギスギス感は減ります。まさに猫。
「あ、そういう会社生活いいな」と思ったあなたはネコ型ですね。

 


 

猫はガツガツしてませんが、したたかでタフです。
今日も塀の上で冷静に世の中を観察しています。

 

 

 

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