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最近見ないタイプのマクドナルド看板。
「マクドーノウ」という「正しい」発音ではなく、日本人が発音しやすく覚えやすい「マクド・ナルド」という3音の組み合わせのこだわり。
そして「マクドナルド」「ハンバーガー」がワンセット表記なのもこだわりのひとつだったはず。
マクドナルドを日本に輸入した、藤田 田元社長。名前の後に(デンと発音してください)という但し書きをつけているのが印象的です。「ユダヤの商法」シリーズの著書類は、いずれも古本で高値を付けています。
アルバイトとはいえ、内部から、このユダヤ商人直伝の商売哲学に独自の人心掌握術のような要素を織り込んだ、藤田田社長の言動に触れることができたのは、間違いなく人生においてプラスになっています。
マクドナルド編の締めくくりに、そのあたりについて触れてゆきたいと思います。
まず、内部向けニュースレタービデオでの藤田社長は、ものすごく深々とお辞儀をしていたのが頭によみがえります。
もちろん普段もそうなんでしょう。
社内報の写真で、幹部一同が全員、本来新入りがかぶる「トレーニーハット」をかぶっていたこともありました。
基本に立ち返ることの大切さを、象徴的に説いていたのだと思います。
ある年、売上高2000億円を目指す年があり、必達キャンペーンとして、達成日時当てクイズや、標語の募集が行われました。
その時の最優秀作
「2000億 売るぞこの手で この店で」
は、よほど社長のお気に入りだったようで、社内掲示物全てに表記するのはもちろん、社内報の各ページ上から社内用の封筒・便箋に至るまで、標語が載せてありました。
そして、見事達成の暁には、その時在籍していた社員から新人クルーにまで、記念プリペイドカードが配られました。
この人を巻き込む力は、著書を読むだけでは伝わらないものでしょう。
そういえば、給与明細に
「あなたの努力に心から感謝します。
この経験があなたの人生の糧となりますように。」
のコメントが印刷されていたのを覚えています。
「歴史や伝統のあるものは売れる」
著書でこのように述べてましたが、朝マックがまさにそうです。
よくある喫茶店の、トーストとゆで卵のモーニングではなく、伝統的な朝食のイングリッシュマフィンやホットケーキを展開しています。今でも。
牛丼チェーンのごはん・味噌汁・納豆・焼き魚の朝定食というのは正解ということになりますね。
あと、朝マックには、朝の時間帯のメニューを全く別物にすることで、1日2回来る人が出てくる=来店頻度・客数アップという意図もあります。
スイングマネージャーになって、マネージャー向けの社内報を目にする機会があったのですが、
新メニューの解説にも、原理原則に則った、細部へのこだわりを見いだせました。
例えば、一時期カレーライスを販売していましたが、カレーに添える「福神漬」は、7種の野菜使用で7福神と掛け合わせている。など、特に一般客向けにアピールするわけじゃないところにも、こだわりというか、歴史の裏付けを踏まえた商品開発をしていたようです。藤田社長の指示なんだと思います。
こだわりついでに紹介しますと、バブルのころの朝メニューで「フランクバーガー」というのがありました。
のちの「ホットドック」とは異なり、このフランクバーガーはユダヤ教の戒律に則ったコーシャーフードで、コーシャーに沿った製法の牛肉ソーセージ使用、パンも全粒粉でした。この時期ユダヤ人が大勢来日していたんでしょうか?
かつて新宿に「マクドナルドミュージアム」なるものがあって、1号店の再現コーナーとか、懐かしのメニューやグッズなどの、まあ想像の付く展示物の最後のスペースに、なぜか初期の会議室を再現した部屋があって、まるで秘密結社のロッジのような雰囲気を出していました。そして、出口には藤田田の手の複製が、握手できるような差し出し方で据えてあって、ちょっと小さい子供は泣くんじゃないかという異質さでしたが、しっかり握手して帰りました。
マクドナルドミュージアムは、2003年8月に閉館となり、藤田田氏も翌年この世を去りました。
ちょうど私の、人生の中で辛かった時期と重なります。



